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10/10は「目の愛護デー」藤沢市眼科医会会長・藤川先生インタビュー

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藤沢市眼科医会 会長/医学博士・眼科専門医 藤川眼科 院長 藤川英津子先生

Q 最近「アイフレイル」という言葉をよく耳にするようになりましたが、どのような意味なのですか。

そもそも「フレイル」は「虚弱」という意味です。年齢を重ねて心身が弱り、健康と要介護状態の間にあるが、適切な介入を行うことにより回復が期待できる状態を表す用語として、2014年に日本老年医学会より提唱されました。
 「アイフレイル」は日本眼科啓発会議により「加齢に伴って目の脆弱性が増加することに、さまざまな外的、内的要因が加わることによって視機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態」と定義されています。年を重ねて目の不調を感じるようになってきたとき「歳のせい」と放置してしまうと、将来目の働きに重大な支障が出る可能性があるのです。 アイフレイル対策の目標は

①目のせいで、日常生活が制限される人を減らすこと
②目のせいで、要介護状態に至る人を減らすこと   
③目のせいで、読書、運転、スポーツ、趣味など人生の楽しみや、快適な日常生活が制限される人を減らすこと
ずっと頑張ってきた目の健康を振り返り、これからも快適な見え方を維持し目の健康寿命を延ばすことが、心身の健康寿命を延ばすことにもつながるのです。

Q目が健康でなくなるとどんな不具合がおきるのでしょうか。

症状としては、初めは軽いものから、はっきり自覚できるものまでさまざまです。緑内障や加齢黄斑性、糖尿病網膜症など進行すると失明に繋がってしまう疾患も初めの頃は無症状だったり、ちょっとした目の不調だったりします。早期に発見して適切に介入すれば重症化を防げることも多いのです。
 目の不調に気がつかないことの一例をあげると、緑内障で自覚症状がないまま進行し、視野の一部が欠けても気がつかず、信号や標識を見逃して事故を起こしてしまう、ということがあります。早期発見して治療をしていれば……と思うと本当に残念です。緑内障は40才で20人に1人、60才では10人に1人がかかっており未治療の人も多く、日本人の失明原因1位なのですが、ほとんどの人は適切な治療を受ければ生涯視力や視野を守ることができます。

自分がアイフレイルかどうかチェックする方法はありますか

日本眼科医会が作ったセルフチェックリストがあります。次の項目のうち2つ以上当てはまったらアイフレイルかもしれません。実際目に問題があるかどうかは、眼科医が判断する必要があります。現状は病気でなくても経過観察を必要とするものもあり、定期検査の頻度なども眼科医のアドバイスをきいていただきたいと思います。
 ちょっとした不調を見逃さず、専門医の診断を受けることで、目の健康を維持し、健康寿命をのばしましょう。もちろん健康保険の適用内で診察を受けることができます。

<アイフレイル セルフチェックリスト>

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※日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイトより

Qちなみに眼科ではどんな検査をするのでしょうか

症状にもよりますが、視力検査、眼圧測定、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査、視野検査など多岐にわたります。またOCT(光干渉断層計)という主に網膜の構造を精密に検査するための検査機器が一般のクリニックにも普及しており、緑内障や加齢黄斑変性の診断などに活用されています。現在目の公的な健診システムはなく、人間ドッグでは目の異常をすべてチェックできるわけではありません。やはりちょっとした不調を感じたら「歳だから」と放置しないで眼科医に相談していただきたいと思います。そのためにもアイフレイル チェックリストをぜひ利用していただきたいです。

問い合わせ先Contact

日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイト

https://www.eye-frail.jp/

公開日2024/09/25

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