「いつまでも自分の歯で噛む」 “長持ち”の秘訣は包括的な歯周病予防にあり
歯周病専門医に聞く
「歯周病治療のタイミングと予防」インタビュー前編
「長引くコロナ禍で、受診控えやマスクの着用、人との会話が減ったことで唾液の分泌が促されず、歯周病が重症化した高齢の患者さんの来院が増えている」と「藤沢歯科」の雨宮院長。
歯周病が進行すると体にどんな影響があるのか。藤沢歯科の歯周病治療とはどんなものなのか。日本歯周病学会歯周病専門医の資格を持つ雨宮先生に話を聞きました。
「ハチマルニイマル運動(80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという運動)」が推奨される昨今。自分の歯について考えてみませんか。
進行すると全身疾患を起こすリスクがある 歯周病進行のメカニズム
初期の歯周病(歯槽膿漏)は自覚症状がないため、〝サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)〟とも呼ばれています。
「歯茎がしみるなどの違和感があったが、そのうち自覚症状がなくなった」という経験はありませんか?その原因が歯周病だった場合、それは「治った」のではなく、免疫力が働いただけで、確実に進行しています。
「歯周病菌」はむし歯などの細菌と共にプラーク(歯垢)を形成。プラークは細菌の塊で、除去されずに放置されると歯茎の炎症や出血を伴う〝歯肉炎〟を発症します。さらに症状が悪化すると、歯を支えるあごの骨にまで影響する〝歯周炎〟に進み、最終的には歯を失うことにもなります。
歯周病で歯を失う原因は大きく分けて3つ。口腔内の細菌の量、嚙み合わせのバランス、それから免疫力です。嚙み合わせのバランスについては、いろいろな論文から歯周病に深く関係することがわかってきました。
また細菌に対して免疫力の極めて低い人が、歯周病になりやすいことも。歯周病が進行すると、血液を介して各臓器に歯周病菌が運ばれ全身疾患を引き起こすリスクがあります。
最近の研究では、歯周病と糖尿病がお互いを悪化させること、動脈硬化を誘発し心臓疾患や脳梗塞の発生リスクが高まることなどがわかってきました。
歯周病予防に不可欠な認定歯科衛生士・栄養士の存在
自分の歯を少しでも長持ちさせるためには、治療が終わった後、歯周病菌の少ない口腔内細菌叢(さいきんそう)を保つための歯周病予防も重要です。口の中の細菌叢は、治療後3か月すると元の悪い環境に戻ってしまうからです。
そのためには「日本歯周病学会認定歯科衛生士」の存在は大切です。当院には8名の歯科衛生士が在籍していますが、専門性の高い歯科衛生士だからこそ、患者さんひとりひとりの口腔内や生活習慣を把握、長期的な視野に基づいて、歯を失わないための予防処置を提案、提供することができます。
実際の症例ですが、私たち歯科医師が「温存は難しいかな」と思っていた歯でも、歯科衛生士が手入れを続けることで歯を残していけるケースはかなり多く、そういう時にチーム医療の必要性を強く感じます。
また、高齢化社会の中で、歯科治療では、咀嚼(そしゃく)能力を含めた食べる機能や能力を改善し、患者さんの健康状態を改善することも重要になってきています。
口腔内の機能がすでに悪化し、健康にまで支障をきたしている患者さんが、食事を楽しむことができるようになるためには、歯周病の治療を行うだけでなく、患者さんに合った食習慣を確立していくための栄養指導が求められます。
当院にも栄養士4人がいますが、栄養士が患者さんの食習慣の改善サポートを行うことは、歯周病のリスクをより下げることにつながっています。
歯科医師と歯科衛生士、栄養士が院内で情報共有し、チームによる包括的歯周病治療を行うことは、ライフステージに応じたアプローチができることに他なりません。
藤沢歯科ペリオ・インプラントセンター 4階 藤沢歯科予防クリニック 2階 | |
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「歯科医院におけるチーム医療とは?」
藤沢歯科ペリオ・インプラントセンターが配信する動画はココから! https://www.youtube.com/watch?v=6Aq6OPyRBMM
公開日2023/01/27