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【編集部日誌】疾走する馬上から的を射る日本古来の実践的弓馬術「流鏑馬」見学

「大日本弓馬会」は、流鏑馬の聖地ともいえる“武家の古都”鎌倉から、日本弓馬術を代表する「流鏑馬」や「笠懸」の故実を継承して魅力を発信しています。

10月19日(日)に開催される京都・上賀茂神社での笠懸神事、11月3日(日祝)に開催される東京・明治神宮での流鏑馬神事に向けて
本番さながらの稽古が行われていると聞き、見学に行ってきました。

【編集部日誌】疾走する馬上から的を射る日本古来の実践的弓馬術「流鏑馬」見学

~大日本弓馬会 御殿場・稽古場見学~

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大日本弓馬会が稽古場として利用している「御殿場カルチャーファーム」(静岡県御殿場市)
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この日案内してくれたのは流鏑馬鎌倉教場長の瀬端祐也(せばた・ゆうや)さん
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そして大日本弓馬会師範、小池義明さん

朝9時/礼に始まり、礼に終わる。まずは小池師範による朝礼から始まります。
武道であり神事でもある流鏑馬。凛とした緊張感が漂います。

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小池師範による朝礼の様子

乗馬、弓などそれぞれの基礎練習で技を磨いていきます。

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乗馬の稽古の様子
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弓の稽古の様子

馬場では騎乗しての稽古が始まりました

【編集部日誌】疾走する馬上から的を射る日本古来の実践的弓馬術「流鏑馬」見学

本番さながらの流鏑馬稽古の様子

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大日本弓馬会では、既に製造技術が絶えてしまった和式の馬具を修繕しながら大切に使っています

この日は、海外向けの情報を発信しているインフルエンサー2人が取材のため来場。乗馬体験をしていました。

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まずは騎乗練習用の木馬でトレーニング(左)、慣れてきたら手綱を牽いてもらいながら実際に騎乗します
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騎射の体験もしていました

流鏑馬とは

武者姿の射手が、疾走する馬上から三つの的を射抜く「流鏑馬」は鎌倉時代から続く伝統武芸。流鏑馬の語源は、「矢馳せ馬(やばせめ)」が転じたものだそう。その字句も「馬に乗って鏑矢を射流す」に由来するといわれています。この射術と馬術との結びつきは騎射と呼ばれ、最高の武芸とされていました。

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武田流射手の正装。写真は、武田流・小池義明(こいけ・よしあき)師範

流鏑馬“騎射”の流れ

馬は観客席から向かって左側の馬場本(スタート地点)から右側馬場末(ゴール地点)に走ります。
①素馳(すばせ)……矢を放たず馬を走らせ、馬を馬場に慣らせます。出場する全ての馬が走ります。
②奉射(ほうしゃ)……一の組(第一グループ)から1頭ずつ矢を放ちながら馬場を駆け抜けます。一の組の全頭が走り終わったら、向かって右側の馬場末からそろって歩いて戻ります。これを一の組が2回、二の組が2回、計4回行います。
③競射(きょうしゃ)……奉射の成績上位者が出場する腕比べ。一頭ずつ矢を放ちながら馬場を駆け抜けます。これを2回前後行い、最も多く的中させた射手が最多的中者となります。

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流鏑馬の馬場のイメージ図。大日本弓馬会では、直線の長さや的の間隔は12世紀末以来の伝統に従っているそうです。

大日本弓馬会とは

公益社団法人 大日本弓馬会(鎌倉市)は鎌倉時代から800年以上にわたり継承されてきた日本が誇る伝統の流鏑馬、笠懸を後世に伝えることを目的に、流鏑馬の弓馬礼法を維持保存し、武家の古都・鎌倉から、その魅力を発信しています。

神事である流鏑馬は、単に武芸を競うのではなく、天下泰平・五穀豊穣・万民息災などを祈念する想いも込められています。大日本弓馬会では、流鏑馬(やぶさめ)や笠懸を神事として奉納。2025年10月には京都・上賀茂神社で。11月には東京・明治神宮で流鏑馬神事が行われます。人馬一体となった神事は心洗われます。みなさんも機会があれば実際に見てみてください。

イベント情報

■笠懸神事【上賀茂神社】
2025年10月19日(日)13:00~
場所:上賀茂神社 京都府京都市北区上賀茂岡本町

毎年10月第3日曜の13:00から大日本弓馬会によって奉納される笠懸神事。疾走する馬上から水平に的を射る遠笠懸、地面にある的を射る小笠懸などが行われ、「流鏑馬」のより実戦的な弓馬術として知られています。

京都観光オフィシャルサイトhttps://ja.kyoto.travel/event/

■明治神宮流鏑馬神事【明治神宮】
2025年11月3日(日・祝)13:30~
場所:明治神宮西参道沿芝地 東京都渋谷区代々木神園町1番1号

明治神宮では、大正9年、鎮座奉祝流鏑馬が武徳会より奉納され、昭和7年以降は全日本本弓馬会より毎年奉納されました。昭和20年に一度中断しましたが、昭和28年に復活し現在は大日本弓馬会によって奉納されています。
明治神宮公式サイト https://www.meijijingu.or.jp/taisai/

公開日2025/10/01

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