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乳腺外科医・土井卓子先生インタビュー/乳がん治療における地域連携の重要性

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湘南記念病院 乳がんセンター長
ピンクリボンかながわ代表
土井卓子(どい たかこ)先生

地域のクリニックが連携して支える「乳がん治療」

今や、珍しくない病気「乳がん」。「ピンクリボンセミナー湘南」で基調講演を行った土井卓子先生が提唱する「乳がん治療における地域連携の重要性」について話を聞きました。

湘南エリアに増えてきた乳腺専門医の存在

乳がんは「全摘」しか選択肢がなかった時代を経て、今では温存、再建も可能になっています。
私の所属する湘南記念病院では、年間300件以上の乳がん手術を行っていますので、10年経つと何千人もの患者さんが通院することになります。通院する患者さんが増え続けると、細かく丁寧に診ることが物理的に難しくなり、医療の質が落ちてしまうことにもなりかねません。
そこで必要になってくるのが、地域連携です。以前は「乳腺外科」が標ぼう(病院やクリニックの看板に表示すること)できず、乳がんは一般的な外科が診てきました。標ぼう可能になってからは、湘南エリアにも乳腺専門で研さんを積んできた先生方が開業した、乳腺専門の「乳腺外科」クリニックが増えてきました。

医師同士のネットワークを活用した上手な使い分けを

触診含め、画像診断、経過観察、定期健診、副作用対策などは、地域の専門医に任せたほうが、手厚い医療受けることができる場合も。仮に細胞診で異常が見つかったら手術可能な病院に移り、オペが終わり、抗がん剤治療が落ち着いた段階で再び、自宅から通院しやすい専門クリニックに……といった使い分けもしていただきたいですね。
また術後の治療が、妊孕性(にんようせい)や卵巣機能低下、子宮内膜増殖などに影響を与えることも多いので、婦人科との協力体制も非常に重要だと思っています。
湘南には医師のネットワークがありますから、正しい知識を持っていただき、医療機関を上手に活用して欲しいというのが私の思いです。

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ピンクリボンセミナーでは、地域の乳がん治療を支える医師たちが登壇して熱い思いを語りました

▼ピンクリボンセミナーに参加した地域のクリニック

❶湘南台ブレストクリニック
❷まり乳腺クリニック
❸鎌倉大船こばこ乳腺クリニック
❹湘南斉藤クリニック乳腺外科
❺サクラス乳腺クリニック
❻多和田レディースクリニック
❼馬車道ブレストクリニック

10/21盛況だった「ピンクリボンセミナー湘南2023」

3つのセミナーに、土井卓子先生の基調講演の4部構成で行われた「ピンクリボンセミナー湘南2023」。30~50代の女性を中心に多くの人が来場し、乳がんの知見を深めました。

土井卓子先生が講師で行われた基調講演「家族の幸せはママの健康と笑顔」。特別ゲストはタレントのくわばたりえさん。「マシンガントークの掛け合いがおもしろくて、あっという間の1時間半だった」と参加者

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セミナーを真剣に聞き入る来場者
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盛況だったブースの様子
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公開日2023/11/01

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