Question.健康診断で「心房細動」と指摘されました。無症状なので、放っておいても大丈夫ですよね?
Answer.
「心房細動(しんぼうさいどう)」は不整脈の一種です。正常な心臓は心房→心室の順序で、1分間に60〜80回規則的に収縮しますが、心房細動では心房が細かく震えるだけになってしまい、脈のリズムがバラバラになり、一般的には速くなります。
症状としては動どうき悸や胸部不快感などがありますが、いっさい症状を感じない人も少なからずいらっしゃいます。
ですが、実は怖いことが2つあります。①心不全を起こしやすくなること、②脳梗塞を起こしやすくなることです。
心房細動になると心臓が血液を送り出す能力が低下します。体が必要とする分だけ血液を送り出せなくなった状態が“心不全”です。
心不全になると、階段や坂道を登ったときに息切れや動悸を感じて立ち止まってしまったり、横になると呼吸が苦しくて寝られなくなったりして、今まで普通
に出来ていたことも出来なくなってしまいます。このため生活の質は大きく低下します。
また心房から心室へと血液がスムーズに流れなくなるため、心房の中で血液がよどんでしまい、血栓ができやすくなります。この血栓が流れて脳の動脈を詰まらせると脳梗塞になります。
高血圧症や糖尿病などの持病がある人ではより起こりやすいです。心房細動で起こる脳梗塞は重症になることが多く、大きな麻痺が残ったりします。
心房細動は直ちに命に関わるような不整脈ではありませんが、放置すると大変危険です。一方、適切に治療すれば合併症を回避することができますので、まずは医療機関できちんと相談しましょう。
答えてくれたのは…
やのハートクリニック院長 矢野 善己 先生
やのハートクリニック |
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公開日2022/07/01