大自然に還る…… 海を眺め花に囲まれた「樹木葬」とは
子どもに負担をかけたくない人や、遠方にある墓の管理などの問題から「墓じまい」を検討する人が増えている昨今、永代供養してもらえる「樹木葬」は新しいお墓の形として注目されています。
今回は「顕証寺墓苑 七里ガ浜樹木葬」の信清住職に、樹木墓参りとお彼岸の本来の意味について話を聞きました。「お墓の種類は違っても、ご先祖に感謝を伝え供養し、自分に向き合うのが本来の彼岸」と住職。今年は家族そろって、ご先祖様の彼岸参りに出かけませんか。
合祀されずに永久(とわ)に眠る新しいお墓の形「樹木葬」
墓に納骨する従来の埋葬方法とは異なり、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルにしたお墓「樹木葬」。自然に還ることを目的とした埋葬方法の一つで、里山型、ガーデニング型、シンボルツリー型など埋葬する場所により形態はさまざまです。
江ノ電・七里ヶ浜駅から徒歩3分。相模湾を一望できる地で、ガーデニング霊園とも呼ばれている「顕証寺墓苑 七里ガ浜樹木葬」のコンセプトは〝花に囲まれて〟。日本初の「ガーデニング霊園」を作った会社が手がけた、まるで公園のようにきれいな芝生が広がる墓地に、四季折々の美しい花々が咲き乱れます。
素晴らしい眺望と利便性に魅了され、北は北海道、南は鹿児島から見学者が訪れているそうです。「樹木葬式永代供養墓」と、モニュメントを墓標に眠る「集合墓式永代供養墓」がある同墓苑は、合祀されず永年この地で眠ることができます。宗教は不問。「海が一望できる景色の中で、愛するペットと一緒に入りたい」という人にも選ばれています。
ご先祖に感謝を伝え自分に向き合う 本来の「彼岸」のカタチ
昼と夜の長さがほぼ同じになる「春分の日」「秋分の日」を中心とした前後3日間の合計7日が「彼岸」です。
現世を「此岸(しがん)」、あの世のことを「彼(か)の岸(ひがん)」と言い、彼岸の期間は、〝あの世とこの世が一年の中で最も近づく〟とされており、その期間にご先祖様にお参りをして、日頃の感謝を伝え供養するというのが一般的な考え方だそう。
「供養には亡くなった人を〝とむらう(弔う)〟という意味がありますが、これはもともと〝おとのう(訪う)〟が語源で、安否を気遣うのが弔問の意味です。当苑の樹木葬は永代供養ですが、本来の本義である『亡くなった人を慰める』『供養する』という原点に立ち返る意味で、彼岸やお盆のお墓参りはとても意義のある形であると考えます。」
「仏教で彼岸は、ご先祖様の供養を行うとともに、改めて自分に向き合う崇高な修行期間とされています。菩薩(ぼさつ)が実践した修行とされる、菩薩の六度行(ろくどぎょう)には、布施(親切)、忍辱(忍耐)、持戒(言行一致)、禅定(反省)、精進(努力)、智慧(修養)があります。
彼岸はこの六度行を1日1つずつ修め、中日である春分の日と秋分の日は、ご先祖様への感謝の意を捧げる日とされています」(住職)。
樹木葬のお墓参りには、しきたりや特別なルールはないそう。「故人・先祖に対する供養するためのシンボル『塔婆』を立てることは善行とされています。塔婆は、故人に宛てた手紙の役割があるともいわれています。」
亡き人へのお手紙「塔婆」。今年は家族そろって墓参りをし、塔婆を立てて故人を供養してはいかがでしょう。
樹木葬への思い 供養の本義に立ち返る弔いの形
お彼岸やお盆に「お墓に行かねばならない」という回向(えこう)供養の義務的な思いは、真心に則していないと語る信清住職。
「永代供養の樹木葬でも、当苑のご利用者は、回向供養を大切に思っている人たちが多く見受けられます。みなさんに話を伺いますと、故人を一番良い形で弔えたと喜ばれていることに、宗教者として安堵感を覚えています。」
江ノ電「七里ヶ浜駅」から徒歩3分、国道134号線沿いの永代供養墓
取材協力:七里ガ浜 顕証寺墓苑 | |
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公開日2024/03/21