高齢者住宅アドバイザー 岡本弘子さんに聞く、どうなる「シニアの住まい」
「2025年問題」とは、日本に約800万人いるとされる「団塊の世代」(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者になることで起こる、さまざまな問題の総称。計算上では国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会に突入することになります。今回は「これからのシニアの住まい」という視点で、高齢者住宅アドバイザーの岡本弘子さんに話を聞きました。
「高齢者住宅」需要と供給のバランスが崩れている⁈
後期高齢者人口は2042年ぐらいまでは増え続けていく予測です。その上、独居高齢者の数も増え続けていくだろうといわれています。また家族介護による介護離職の問題も非常に大きな社会問題なので、さまざまな要因を加味しても、これから「住み替え」を検討するシニア層がますます増えていくでしょう。
高まる「シニアの住まい」ニーズですが、〝まだまだ足りていない〟といわれているのが現状です。
「有料老人ホーム」にはいろいろなタイプがあり、今増えているのは要介護者に向けた「要介護型ホーム」です。
昨今では、元気で長生きするために住環境を整えたいと、60代から「住み替え」を考える人も増えてきています。元気なうちに入居でき、将来介護が必要になった時にも対応してくれる「自立型ホーム」は、ある程度の規模が必要なので、土地の確保、建築費の高騰、スタッフ確保の難しさなどの要因から以前に比べて新規開設が難しくなっているのが現状です。
つまり要介護型に比べて、自立型はまだまだ数が少なく、入居ニーズに合った供給バランスになっていない状況なのです。
「自由に暮らすためのサポートをしてくれる。それがシニアの住まいです」
高齢者住宅に入居すると「もう自宅には帰れない」「一切の生活が管理されて外出もままならない」と思っている人がまだまだ多いのが現状ですが、それは大きな間違いです。
現在の高齢者住宅では、自立の人は旅行に行ったり、自宅と行き来することも自由で、何も制限はありません。身体にご不自由が出てきたら、できるだけ自立した生活を続けられるよう、スタッフがサポートします。
最近はリハビリも充実してきて、入居される前と比べていろいろな能力を取り戻す人も少なくありません。
新型コロナ5類以降で一気に入居者がふえた2023年
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、それまで待っていた人たちが一気に入居を検討するようになった昨年。特に「自立型」は「早いもの勝ち状態」になっています。
自立されている人が入居されると居住年数は必然的に長くなりますから、なかなか空かないんですね。市場の状況から考えても、将来を見据えて具体的な検討を始めるのは早いほうが賢明なんじゃないかと思っています。
高齢者住宅のひとつ「有料老人ホーム」とは
「有料老人ホーム」は50年以上の歴史を持つ成熟した高齢者住宅制度です。居室数の割合比で見ると、介護付有料老人ホームが5割弱、住宅型有料老人ホームが5割強となり、介護サービスがない健康型有料老人ホームはわずかです。
提供:シニアの暮らし研究所
住み替えの検討はセカンドステージのうちに
今すぐ施設入居は考えていない人でも「いずれ住み替えが必要だ」と思っておられるなら、今の現状を知るために情報収集はできるだけ早く始めたほうがよいと思います。
私はこういうところに住みたい、住み替えたらこんなことがしたいといったライフプランを描いておきましょう。私たち高齢者住宅アドバイザーは、その人が描いている生活ができるだけ送りやすいような環境を考えて、そこにマッチする住宅施設を具体的に提案していきます。
人生100年時代において、リタイア後の40年をどう生きるか。定年退職後のアクティブシニア時代と言われるセカンドステージのうちに、次の介護が必要になるサードステージのことも含めて、考えておくことはとても重要です。
まずは、
高齢者住宅にはどんなものがあって、どんな住まいが自分に適しているか、大まかな絞り込みをしてから
情報収集を!
高齢者住宅アドバイザー 岡本 弘子さんの講演が聞ける
「セカンドライフセミナー ~シニアの住まい編~」が3月に開催されます。
気になる人は参加してみては!
公開日2024/02/25