Beautyコラム:第6回 冬場の肌トラブルの大きな原因は「乾燥」。
野﨑ドクターのビューティーコラム第6回
冬の乾燥に負けないために皮膚科専門医が乾燥のメカニズムを解説!
皮膚科専門医、野﨑Dr.によるビューティーコラム。今回は「乾燥」についてです。
Q:冬になると肌がかゆくなり、かきむしってしまうことも。どうしたらいいのでしょう。
Answer:
それは「皮脂欠乏性湿疹」かもしれません。これは、乾燥による皮膚の炎症のことを指します。冬場に肌がかゆくなるのは、多くの場合「乾燥」が原因であると考えられます。なぜ肌(皮膚)は乾燥するのか?その原因をご説明します。
冬はなぜ肌が乾燥する?
皮膚にはうるおい(水分)を守る力がありますが、寒い季節になると肌のツッパリ感やカサつきを感じるようになりますよね。特に、肌が荒れている人は皮膚のうるおいを保つ力がうまく発揮できず、乾燥しやすくなります。このように、秋口から冬場にかけて、肌のうるおいが低下する理由はいくつかあります。
ひとつは「外気温・外湿度」によるものです。気温が下がり空気中に含まれる水分の量が減少すると空気が乾燥し湿度が低下します。そこに連動して皮膚の水分が蒸発して空気中に逃げやすくなり、肌のうるおいが減ることで乾燥を引き起こします。
次に「加齢」によるものです。年齢を重ねるとともに皮膚は薄く、血流や代謝が悪くなり皮脂や汗の分泌が減少しやすくなります。皮膚の表面を覆っている皮脂は、肌の水分が外に逃げないよう蓋をする役割があるため、分泌量が減ると皮膚の水分が逃げやすくなり、肌の乾燥に繋がります。また肌の乾燥には「皮膚の状態」も影響します。アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患があると、うるおいを守る力がうまく発揮できません。それから、この季節、ナイロンタオルやきめの粗いスポンジなどを使用してゴシゴシと体を強く洗いすぎてしまうなど、顔や体の洗い方が肌荒れの原因になることもあります。
かゆみにつながる肌の“カサカサ”
肌は乾燥すると角質が部分的に剝がれていくようになります。触った時「カサカサ」していたら乾燥していると思ってください。顔や体が“粉”がふいたような症状になったことはありませんか?それは「粉吹き肌」のサインです。 粉ふき肌とは、乾燥により肌表面の角質層がめくれあがり、白く粉を吹いたように見える状態のことです。また皮膚の薄い目元や口元にできる「ちりめんジワ」「小ジワ」とも呼ばれるシワも、乾燥により生じることがあります。
乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、思わぬ肌トラブルを引き起こす原因になることも。乾燥した肌が外からの刺激に敏感になり、かゆみを感じたり、皮膚が炎症を起こして赤くなったりするのが乾燥性湿疹の症状です。過度な洗顔や体の洗いすぎが肌の乾燥につながり、強いかゆみなどの症状が悪化し、皮膚科に来られる人も多いです。
肌乾燥の予防は?
「皮脂欠乏性湿疹」を予防するには、毎日顔や体にクリームを塗って肌が乾燥しないようにすることが重要です。肌が乾燥する時期は皮膚表面の油分を奪うような刺激は厳禁です。洋服の摩擦でさえも、肌を乾燥させる要因になることも。乾燥が気になる季節は、しっかりとした保湿を心掛けましょう。
入浴時のちょっとした心がけでも乾燥対策に繋がります。たとえば、朝と夜2回入浴する人は、石鹸やシャンプーの使用は1回のみにとどめ、体を洗う際には繊維の柔らかいタオルを使用するか、よく泡立てた石鹸を使い手で肌をなでるようにして洗うようにしましょう。皮膚が薄い顔を洗う時も要注意。メイク落とし、洗顔料などで必要以上にこすり洗顔しすぎると、肌のうるおいを守る皮脂が必要以上に落ちてしまい乾燥に繋がります。洗顔も手でよく泡立てた石鹸でやさしく顔をなでるように洗うのが理想的です。
また、乾燥性湿疹の人は、かゆみが“ごまかされる”熱いお風呂に入りたくなりがちですが、熱いお風呂は厳禁です。お風呂の温度は40度が理想的。ぬるめのお風呂にゆっくり入浴しましょう。
乾燥しやすい部位としては、皮膚が薄く、外気に触れるところ。顔だけではなく、脛(すね)なども、ふくらはぎに比べると皮膚が薄いので乾燥しやすいです。
※次回は、具体的な肌の乾燥対策について説明します。
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公開日2023/11/21